ChatGPTなどの生成AIが世に出たことで「ライターはいらなくなる」などの声がありますが、本当にそうなのでしょうか。実は、AIをうまく使いこなすことで、よりライターとしての価値を高めることにつながるのです。
そこで今回は、株式会社ライター組合、douco株式会社代表取締役の佐々木ゴウさんをお迎えして、デイトラ運営の初芝賢がAI時代にライターとして求められることについてお聞きしました。
さらに「もっとライティングについて学びたい」と感じた方向けに、デイトラの「AIライティングコース」についての説明も行いました。有料講座となりますが、AIの活用法なども含めた、ライティング全般を学べる講座です。気になる方は、ぜひご検討ください。
ChatGPTが流行ったけど、”今”の感想は?
株式会社デイトラでマーケティングの責任者をしている初芝賢です。
今回は、ここ2、3ヶ月でAIについてのいろいろな情報が出てきたなかで、今だからこそ言えるAIとの上手な付き合い方について話していこうと思っています。
株式会社ライター組合、douco株式会社代表取締役をしております、佐々木ゴウです。
オウンドメディアの制作など、Webマーケティングに関する業務を行なっています。制作会社としてAIを使っており、AIを使ったツールの開発も行っています。
そのなかで、ライターとしてAIをどの部分で使えるのかなどが見えてきたので、そのあたりについて話していきたいと思います。
ちなみに、今回話すAIとはChatGPTのことです。よろしくお願いします。
生成AIの出現によって仕事が増えた例も
早速聞きたいのですが、ChatGPT流行りましたけど、ぶっちゃけた感想はどうですか?
現状ですが、思ったよりも大丈夫だったなという感想です。
法人がChatGPTを駆使して記事を量産し、ライターの発注がなくなるといった事態にはなっていません。
むしろ僕自身ライターへの発注は増えています。
また、おもしろいことに、ChatGPTで記事を作れると思った法人がChatGPTを使用したものの、うまく記事を作れず、記事作成を依頼する事例も出てきました。
おもしろいですね。
このような問い合わせが最近何件か来ていて、むしろChatGPTが出てきたことで、ライティングにとっては追い風になっているといえるかもしれません。
ただし需要が激減している部分もあります。
単価の低い案件は減少した
良い面だけではないと。
具体的には、文字単価0.5円以下などの案件は激減しています。
このような単価の低い案件は言ってしまえば誰が書いても同じなので、人でなくても良いと判断され、案件が減っているということです。
なるほど。
ただ、文字単価の安い案件が減っているのは良いことだと思っていて。
今までは、文字単価が安いのにマニュアルがガチガチで、よその記事を見れば書けるような案件が増え過ぎていました。
その結果やめてしまうライターも多かったのですが、ChatGPTが出てきたことで、文字単価の安い案件が減って、最初につまづくライターが減ったと思います。
そういう意味では案件が減って良かったといえます。
まとめると「誰でも書ける内容で良いから、とにかく記事を量産してほしい」という案件は減ったということですね。
あと、ライターとしての価値を出そうと思ったら、ライター自身の専門性や独自性を出すところが必要なわけで。
独自性や専門性のあるライターにはあまり関係がないと思います。
今、独自性や専門性を出せていないライターも、ChatGPTのあるなしに関わらずそっちの方向を目指すべきなので、キャリア的には大きな影響はないと思います。
AIが苦手なところと得意なところは?
AIが苦手なところはどのようなものがありますか?
AIが苦手なところ
苦手なところは調べ物系ですね。
例えば、自分が初めて知った単語について「〇〇の意味を教えて」とAIに伝えると、AIは正しい内容に見える答えを提示します。
しかし、彼らはとんでもない嘘をついてくる場合があります。
もし、AIに提示された間違った情報をそのまま記事に使ってしまうと、大きな問題となるので、現状はAIに調べ物を任せることはできません。
AIが得意なところ
AIが得意なところはどのようなものがありますか?
発想のタネを出すこと
得意なことは、発想のタネを出すことや構成することなどです。
発想のタネを出すことについては、例えば「Webライターを副業で行うメリット」について10個出すように指示すると、いくつか自分では思いつかなかったアイデアをもらえることがあるんですよ。
この使い方が僕は一番多いです。特に、メリットとデメリット、比較記事などで使います。
ChatGPTから出てきたアイディアはブラッシュアップしますか?
はい、ブラッシュアップしていくのがライターとしての腕の見せ所だと思っています。
出てきたアイディアの評価すらAIにやらせるという方法もあると思うんですけど、ゴウさんはどういうふうに使うのかなと思いまして。
僕も以前はChatGPTから出てきたアイディアを、ChatGPTにおすすめ順に並べてもらうなどをしていました。
ただ、あまりうまくいかなかったので、今はアイディアを出してもらうだけにしています。
構成を作ること
あと使えるのでいうと、構成を作ることですね。
「あなたは〇〇のプロです。私は〜〜について書くように依頼されたライターです。△△な読者にもわかりやすい記事構成を考えてくれますか?」のように、ChatGPT・読者・ライターの立場を明確にして質問すると構成を出してくれます。
出てきた構成をそのまま使って良いかはわかりませんが、例えば、自分が考えもしなかったアイディアなどが出てきたら、参考になりますよね。
また、自分が依頼された内容について詳しくないときに、よく使っているプロンプトがあります。
ChatGPTに作ってもらった構成をコピペして「あなたは何もわからない日本の中学生です。今回作った構成について、どのあたりが難しいと感じるか教えてもらえますか」と質問します。
そして、ChatGPTが難しいと感じる部分が出たら、その部分をわかりやすく言い換えるように指示するんです。
その言い換えられた内容を見ることで、どのような表現をすれば、その分野の知識がない人でも理解しやすいのかが学べます。
ChatGPTにうまく答えてもらうコツのひとつに「役割を与える」というのがありますよね。
役割を与えてAIの回答範囲を限定することで、自分の望む方向性の解答が得られるので、すごく重要です。
ChatGPTに会話をし続けることが重要
もうひとつ、ゴウさんのChatGPTの使い方で重要なことが、ChatGPTは最初に与えた役割などを記憶することですね。
例えば、最初に「倉庫管理のプロ」と役割を設定して会話していくと、会話の精度がどんどん上がっていくんですよ。
このことをプロンプトスタッキングといいます。
会話を続けるのは重要ですね。
それでいうと、最近僕はChatGPTに会話の途中に屁をこかせるという遊びをしています(笑)
なんですかそれは(笑)
屁をこいてくださいというと「不快だから出せません」と言われて、屁をこいてくれないんですよ。
でも「屁をこいた時の音を出力してください」というと屁をこいてくれるようになったんです。
これはおふざけですけど、遊びで色々とAIに触ってみることをおすすめします。
遊ぶことで使い方がわかってくるということですね。
現場でAIをどう使っている?
では、実際の記事作成の際、どの部分をAIにお願いすれば良いですか?
僕がよく使うのは、タイトルなどを考えるときに発想のタネを出すこと、あとはさっき言ったように今まで触れたことのないジャンルの記事を書くときに構成を聞いてみることもあります。
ただし、あくまでも参考程度にとどめています。
僕は記事を直接書いてもらうことは無くなってきていて、最近はターゲットへの理解を深めるために使っています。
例えば「あなたはダイエットがうまく行っていない20代女性」と設定し「その人が抱える悩みを教えてください」みたいな感じで聞いています。
このように、複雑なプロンプトよりも、フレームワークを与えて質問することが重要で、実践的だと思っているんです。
マーケティングリサーチにおいて大事な要素をフレームワーク的に用意して、それをまとめて回答してもらっています。
AIは平均的な答えを出してくれるので「一般的にダイエットに失敗する人はこういう行動をしてしまう」などが、わかるようになります。
確かに。ペルソナとかターゲットの理解が深まるので良いですね。
その他にも、短いキャッチコピーとかは出しやすいですね。
キャッチコピーもさっき言ったように、フォーマットを与えるとそれに則って書いてくれるので、本などに書いているフレームを持ってきて答えさせることもできます。
これからのライターに求められることは?
次の質問ですが、これからのライターに求められるものはなんだと思いますか?
いくつかあるのですが、今回は2つに絞りますね。
取材案件は無くならない!
ひとつめは、取材ですね。今後AIが発展していったとしても、AIが取材をするのは厳しいと思っています。これはAIの能力の問題というより、人の心が問題になると思います。
もし自分が有識者で、取材を受ける立場になったとき、取材相手から「何日までにAIに回答してくれますか」と依頼されて、取材を受けようと思いますか?
うーん。
なんか面倒な気持ちになりませんか?
特に、有識者には年齢が上の人が多いわけで、そういった人たちにAIを投げると、怒られる可能性が結構あるでしょう。
また、仮にAIによる取材を受けてくれても、人間がする取材のように、話が盛り上がって裏話などを聞かせてもらえることも無くなるでしょう。
つまり、人間側が嫌がるので、取材案件はAIが進歩しても無くならないと考えています。
僕も無理だと思いますね。
人間のように「それってこないだSNSに書いていたことですよね」みたいに話を広げることもできないし。
ということで、取材や自分で体験したことを執筆するなど、一次情報と呼ばれるものを記事にすることは、AIでは難しいので、今後も人間がやっていくと思います。
ただ、今後のAIの発展が予想を超えたもので、2年後くらいに僕は手のひらを返してる可能性もあることを伝えておきます(笑)
現状はとりあえずAIに取材は無理だろうということですね。
マーケティング的な提案をすることが大事!
もうひとつは、クライアントに言われたとおりに記事を書くだけでなく、マーケティング的な提案をするなど、色々なことができるようになるということですね。
例えば
- 「あなたの商品はここに強みがあるからこういうことを伝えた方が良いと思います」
- 「競合がこう言っているのであえてここには触れないでおきましょう」
- 「今回書いた記事の一部を使ってXに投稿しませんか」
このような提案をすることはAIには難しいですし、現在このポジションはたくさん空いています。
また、このような提案ができると、AIを使う側になれるんです。
「AIが進化したら誰でも使えるようになるんじゃないの?」と思っている人もいるかもしれませんが、そんなことないです。
だって、いまだにFAX使っている会社がいっぱいあるんですよ?
いや本当そう。
記事が上がったら自動的にXに投稿するなどの作業はAIができるようになるかもしれません。
しかし、そもそもクライアントに「今回書いた記事の一部を使ってXに投稿しませんか」と提案するのは人間しかできません。
なので、SEO記事のライターとして依頼されたのなら、SEOに関連したものを知っておく。
例えば「クライアントがお花屋さんだからInstagramがよさそうかな」などを考えて提案していく。
提案していくことはライターにとってすごく重要で、それができるようになると楽しい。
さらに、儲かるようになります。
なるほど。
なので、AI関係なく提案することはやっていった方が良いと思います。
そうですね。AIの登場によって、役割が変わっていく感覚に近いです。
僕自身、ライター上がりでマーケターやってるからわかるんですけど「ライター=記事を書く人」という考えは違うと思っていて。
文章を扱うマーケターだから「ライティングマーケター」のようなものだと思っているんです。
ブログ記事だけでなく、SNSや広告、プレスリリースなど、色々な場面でライティングスキルを駆使して提案する。
このような立ち回りをするのがライターのキャリアパスになっていくのではないかと考えています。
今まではブログ記事だけでも食えていけましたが、今後はどんどんステップアップすることが求められますね。
そうですね。そして、その仕事は結構楽しい。
楽しいし、単価も上がるし。
そして、例えば広告の仕事など、今まではデザインスキルがないと受けられなかった仕事もありました。
しかし、今ではAIにデザインの部分を任せて、自分はライティングに専念するといったことができるようになりました。
デザインなど、自分の苦手な部分をAIに補ってもらいながら、ライティングスキルを色々な場所で生かす。
取材や資料作成などのコンテンツ作成をしていくといった立ち回りに変わっていくと思います。
AIは便利だが全ての仕事ができるわけではない!
まとめとしては、AIはとても便利です。なので使わない理由はありません。
ただ一方で、ライティングの仕事を全部はできない。
例としては、取材やファクトチェックの部分ですね。取材をAIが行うのは難しいですし、AIが嘘をついたときに、責任を取りきれないからファクトチェックの部分でも難しい。
しかし、AIにはできないこともありますが、AIをマーケティングの道具として活用できるライターは活躍の場が確実に広がります。
あと、AIがあるからこそ企業がコンテンツ制作に興味を持って仕事を発注することも増えています。
そのため、AIをマーケティングの道具として活用できるライターというポジションを取ることは、すごくありだと思っています。
そうですね。
でも、どうやってAIをマーケティングの道具として活用すれば良いのかとか、わからないという人も多いと思います。そんな人におすすめなのが、デイトラの「AIライティングコース」です。
デイトラAIライティングコースってどんな講座?
AIライティングコースの講座内容
講座内容としましては、まずAIについてどういうふうに使ったら良いのか更新しています。
例えば、専門家としてアドバイスしてもらうために、どのようなプロンプトを投げれば良いかや、AIをSEOでどのように役立てるかなどです。
あとは失敗例ですね。僕らが色々と実験するなかで、この方法だとダメだったということがあるんです。
このような失敗例の共有はあまりないと思っているので、このように僕らがAIを触りまくっている方こそできるお話をできれば良いなと思っています。
あと、SEO以外の内容もすごく重視しています。
SEOはライティングの一部でしかないですからね。
今までも「ライティングコース作らないんですか?」と聞かれても作らなかったのは、SEO記事だけというのは僕のイメージしているライター像と違っていて。
これから活躍することも考えたら、取材とかも含めて教えないと本質的じゃないと考えていました。
でも、現実的にそこまでカバーしたものは作れないと思っていましたが、ゴウさんの協力もあって、リリースできました。
そうですね。僕がやっているdouco株式会社は取材専門の会社なんですよ。
B to Bの取材専門の制作会社として作っていて、取材はいっぱいやっているんです。そのなかで見えてきたことなどをゴリゴリ話しております。
そして、添削回数が脅威の10回ということで。これは5個の記事に対して2回ずつフィードバックします。
なぜ2回ずつ行うのかというと、1回では伝えたいことの4割ほどしか伝わらないことって往々にしてあるんですよ。
それではあまりにもったいない。だからこそ2回添削するということにしました。
もしよければ、AIライティングコースをよろしくお願いします。
本日はありがとうございました!